「アパート建てれば相続税が減る」はもう古い。2027年から変わる、銀行が言わない不動産節税の新常識 New!
- 栗原 正明(CFP)

- 3 日前
- 読了時間: 3分
「お父様の相続対策に、アパートの建築はいかがでしょう?」
銀行や不動産会社から、このような提案を受けたことがある方、あるいは親御さんがそういった話を持ちかけられている方は、少なくないはずです。
確かに、これまで「賃貸不動産を建てると相続税が下がる」という話は、あながち嘘ではありませんでした。路線価や借家権割合を使った評価方法により、現金よりも不動産の方が相続税の評価額が低くなる——そういう仕組みが長年使われてきたのです。
しかし2027年1月1日以降、その「常識」が大きく変わります。
何が変わるのか?
2026年度の税制改正大綱において、「貸付用不動産の評価方法の見直し」が決定しました。
簡単に言うと、相続が発生する5年以内に取得・新築した賃貸不動産については、従来の路線価評価ではなく「時価(通常の取引価額)」で評価するというルールになります。
これまでは、たとえば5,000万円で建てたアパートが相続税の計算上2,000万円の評価になる、ということも珍しくありませんでした。この「圧縮効果」こそが節税の肝だったわけです。
しかし新ルールでは、相続発生の5年以内に取得した不動産は、ほぼ購入価格に近い時価で評価されます。つまり、「直前に買ったアパートで税金を減らす」という手法は、事実上封じられることになります。
「2026年中に買えばセーフ」は危険な考え方
ここで注意していただきたいのが、「2027年1月の施行前に買えば旧ルールが使えるのでは?」という考え方です。
確かに制度上は、施行日前の取得であれば旧ルールが適用される余地があります。しかし税務の世界には「総則6項」という規定があり、明らかに節税を目的とした不自然な取引については、税務署が時価評価を求めることができます。
実際に2022年には、タワーマンションを使った節税スキームに対してこの規定が適用され、最高裁で納税者が敗訴しています。今回の改正を受けて「駆け込み購入」をすることは、同様のリスクを抱えることになりかねません。
では、今持っている不動産はどうなるのか?
「うちの親はすでに賃貸アパートを持っているが、大丈夫か?」
ご安心ください。5年を超えて保有している不動産については、原則として従来の評価方法が維持されます。今すぐ何かしなければならないということはありません。
ただし、「5年以内」の判定は取得時期ではなく、相続発生時点から遡って計算します。たとえば今年(2026年)に取得した不動産でも、2031年以降に相続が発生すれば新ルールの対象外となります。
独立系FPとして、私が本当に伝えたいこと
銀行や不動産会社が「節税になる」と勧める商品には、その会社の収益が絡んでいます。相続税が下がったとしても、アパートのローンや管理コスト、空室リスクを総合的に考えたとき、本当に「お得」かどうかは別の話です。
今回の改正で、「節税目的だけ」の不動産購入は意味をなさなくなります。これは言い換えれば、不動産を「収益資産として正直に評価する時代」が来たということでもあります。
相続対策を検討される際は、「税金が下がる」という一点だけで判断するのではなく、収益性・流動性・維持コストを含めたトータルな視点で考えることをお勧めします。
不動産を使った相続対策にご不安がある方、親御さんへのアドバイスをお求めの方は、ぜひFPオフィス ジェイワンへのご相談をご検討ください。

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