年金の“3号分割制度”をご存知ですか? New!!
- 栗原 正明
- 11月20日
- 読了時間: 2分
──熟年離婚の影に、年金の見直しあり
「これからの人生、1人で歩んでいこうと決めました。」そんな言葉から始まる熟年世代のご相談に、FPとして関わることが増えてきました。
ときに避けられない“離婚”という選択。感情的にも経済的にも大きな転機となりますが、そこで忘れてはならないのが「年金の分割」です。
特に、専業主婦だった方や第3号被保険者(厚生年金に加入する配偶者に扶養されていた人)だった方にとって重要なのが「3号分割制度」。これは2008年の法改正によって生まれた制度で、離婚時に夫婦の年金記録のうち、“婚姻期間中の厚生年金の一部”を、専業主婦(夫)側に分けて記録できる仕組みです。
特徴は、なんといっても“相手の同意が不要”という点。離婚が成立すれば、相手の署名や承諾なしに、所定の手続きを経て分割請求が可能です。つまり、言い出しづらい、揉めるかもしれない、と遠慮する必要はありません。正当な権利として、手続きをすれば良いのです。
ただし、注意点もあります。分割できるのはあくまで“2008年4月以降”の厚生年金に限られ、それ以前の期間は対象外。また、離婚後“2年以内”に請求しなければ時効となってしまう点にも気をつけたいところです。
年金というと「老後のこと」と思いがちですが、実は“離婚後の生活”にも大きく関わります。「年金分割をしていなかったために、老後の収入が大きく減った…」ということにならないよう、情報としてしっかりと知っておくことが大切です。
人生には、思いがけない変化が訪れることがあります。そんなときに「知っていることで救われる制度」があることを、少しでも多くの方に届けたい。私たちFPは、そんな視点からも日々相談に向き合っています。

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