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栗原 正明

インボイス制度には早めの対策を。

更新日:2023年10月27日

個人事業主、フリーランスの方々はすでに情報を収集されていると思いますが、

2023年10月よりインボイス制度がスタートします。


現在、1年間の収入(売上)が1,000万円未満の方は、消費税の納付を免除されているので、請求書を提出する折に特に消費税の事を気にしていなかった方も多いと思います。

ただそれはクライアントから消費税を受け取っていなかったわけではなく、内税として

消費税込みの金額を受け取っていたと理解してください。

その受け取っていた消費税(預かり消費税と言います)を青色申告(確定申告)時に上記の免税措置により、納付義務を免除されていたことになります。


では報酬を支払っていたクライアントはどうしていたかというと、皆さんに消費税を支払っていた会計処理になっていました。簡単に説明しますと、

例えばある会社が所属アーティストのライブを開催して、そのバックバンドを皆さんに依頼していたとします。

皆さんのギャランティーが3万円だと源泉徴収税を差し引いて、27,000円(わかりやすく10%とします)を振り込んでもらっていると思います。

皆さんの意識的にはギャラは3万円です。

それでは会社側はどうかというと、消費税込3万円(うち消費税2,727円)という処理になっています。税抜き27,272円のギャラを支払っていた形です。

なぜそうするかというと、このライブの売上はチケット収入で、そこには消費税が含まれています。その預かった消費税を年度末に国に納める時に、そのライブの経費として皆さんに支払った消費税(上記の2,727円です)を差し引いて、納付することができます。


これに対して今回のインボイス制度は、消費税を免税されている皆さんに支払った消費税分は、年度末に納付する預かり消費税から差し引くことが出来なくなるという制度です。


現在免税になっている方々に起こりうるデメリット等は、既に情報が溢れていて、色々と調べている方も多いと思いますが、私の見解としてはクライアントは皆さんに“課税事業者”になることをお願いしてくると思っています。

これにはいくつかのパターンがありますが、現在ネット上に溢れている「フリーランスを廃業させるのか!」という悪意に満ちただけの形ではなく、皆さんと信頼関係を築かれているクライアントの方々からは、今までのギャランティー分に消費税分を乗っけてお支払いするので、課税事業者になって欲しいとお願いされる事が多分にあるという事です。


何故かというと、クライアントの方々も現場のディレクターやマネージャーであって、会社の経理業務に関わってる方は少ないでしょう。今回のインボイス制度によって、会社の経理担当者の実務はかなり増える可能性があります。その中で課税事業者、免税事業者と分けることに対して処理が重んでいく事を、会社が容認することは難しいと思います。

それならばどうしてもお願いしたい相手に対しては、消費税分を加えてお支払いしてでも、会社として課税事業者とのみ取引をしていくという選択をすることは十分考えられるかと思います。


よく聞くのは、「自分に仕事をくれている人も、免税事業者だから大丈夫でしょ」というものですが、これは大間違いです。今皆さんに仕事をくれている人も、その大元の受注先から

課税事業者になる旨を依頼される可能性が高いからです。


今回の件確かに免税事業者にとってデメリットは多いですが、もし皆さんとクライアントの信頼関係が強く、今までのギャランティに消費税を加えて取引してもらえるようになれば、

デメリットがメリットに変わる部分もあります。

皆さんは課税事業者として消費税を国に納付する義務が発生しますが、今まで楽器などを購入する度に支払ってきた消費税を、預かった消費税と相殺することができるのもその一つです。


何より大事なのは、現クライアントとの信頼関係だと思いますので、なるべく早めにインボイス制度に対して取引先の方向性を知るべく、会話を持たれていくのが良いかと思います。


大切な収入の10%にも関わることですので、いつでも私まで相談していただければ、各々の方の現状にとって、限りなくベストな選択を模索させていただきます。













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